「百鬼夜行絵巻の謎」 小松 和彦 08.12. 集英社 1,200円
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作成日時 : 2009/02/06 21:17
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実におどろおどろしく滑稽で、哀れで怖ろしい本!
なんの映画なのか教えて戴きたいのですが、大川の土手を唐傘のお化けやら一つ目小僧やらの「お化け」が列をつくって踊り狂い消えていく映画があったのです。その場面だけが妙に残ってはいるのですが.......
お化けと妖怪と鬼の違いとか、「百鬼」を描いた絵巻の変遷やらが小松和彦氏特有の綿密さで分析されています。 昔はまともな闇があり、部屋の隅や廊下・土間などにもしかるべきモノノケが住まっていたのですが、今は何処かへ行ってしまいました。中国では古い家具や道具も年がくると妖怪になれるそうで、「聊斎志異」にはあきれるほどの種類の妖怪変化が登場しております。さすが中国と思いました。小机や箱のお化けも出てきます。
日本の妖怪たちだって負けてはいません。
「鳥獣戯画」にでてくる動物たちを彷彿とさせる筆の運びなのですが、どの「怖ろしげ」なモノノケたちも恐怖におののいているのです。それは、「百鬼の図」のおよそ三分の一を占める黒雲が空を覆いつくすように迫ってきているからなのです。尚おそろしいことに、魔性の黒雲は「百鬼」たちの逃げていくその先からやってくるのです。
蝶やトンボ、白布の妖怪、猫の骸骨やら半分人間に化けた狐やらが妖怪の姿でこけつまろびつなのです。勿論、おなじみの鬼たちもおります。皆 黒雲の妖怪大魔王に飲み込まれてしまうのでしょうか。
小松氏は、絵巻物を広げながらこんな風に語るのです。多分、昔のひとがそうであったように。
「まず、飛び出してきたのは、天狗を思わせる鳥の妖怪。たすきをはためかせ、両手にもった骨から火炎を放ちながら走っている。この先に何が起こっているのだろうか」と思わせぶりにもう一巾だけ巻物を広げる。
すると、「烏帽子を被った天狗のような顔をした妖怪が、矛を肩に担いで、すごい勢いで走る。露払いのようだ。」 それぞれの文章の上にその妖怪が描かれている。こんなふうにあとからあとから続いてやってくる妖怪たちを紹介。そして、「その次に現れたのは赤鬼。走りながら前を行くものを脅しているようだ。下の細長い白布は何かの尻尾だろうか」で、また広げる。(ページをめくると)
「白い布は手前の小龍の妖怪の尾だった。」とある。
ついに、「赤鬼が額に手をかざして前方の様子をうかがっている。
上方に黒い煙のようなものがたなびいているが、これはいったい何なのだろうか。」
でた!
この本は新書版です。願わくば、せめて「トンボの本」ぐらいの大きさであったならと残念に思いました。
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表紙カバー裏から : 2007年七月、画期的な絵巻「百鬼の図」が発見される。この新発見の絵巻の登場によって、“謎”だらけといわれてきた百鬼夜行絵巻のミステリーが一気に解け、これまでの定説は完全にくつがえることになったのである。
著者は、国内外にある百鬼夜行絵巻の伝承六十余の画像をすべて収集、それらの詳細な分析により、絵巻の成立と系譜の全容の解明をはたす。この発見と研究のプロセスを収録した本書は、妖怪研究第一人者による、百鬼夜行絵巻研究の決定版である。本邦初公開の「百鬼の図」をはじめ、初紹介の伝本多数をカラーで掲載。
コンピューターはすごい!としかいえません。この全画像から比較検討する個々の画像を引き出し、反転させ、拡大縮小させ、またこれ以外の絵巻物からもあれやこれやと引っ張り出せる、こんなことは朝飯前。昔、網干先生から木簡の経文の一部がどこなのか一つ一つ当ってみるのが大変だと。時間をかければ出来るのだが誰かやってくれるとたすかるのだと。これだってコンピューター様なら.....ね。昔は今みたいに誰もがPCを持っていて使いこなしていなかったし、画像も講師が自前で並べたスライド、時々さかさまになったりする、間違えて別の画像が出てきたりして楽しい面もあった。これを人間味というのです。
アナログ的古代人なら、「図説 百鬼夜行絵巻を読む」河出書房新社で、真珠庵本・東博本・東博異本。
湯本 豪一氏著「百鬼夜行絵巻ー妖怪たちが騒ぎ出す」小学館で、
狩野宴信本と真珠庵本が見られるそうです。
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「百鬼夜行絵巻の謎」 小松 和彦 08.12. 集英社 1,200円 ***∵∴∵∴∵***/BIGLOBEウェブリブログ